columnコラム

【平成28年12月の人事】雇用保険の保険料引下げ

雇用保険保険料引下げへの動き

平成24年4月1日に雇用保険料率が引き下げられて以降、平成27年3月31日まで雇用保険料率の変更はなく同率となっていましたが、平成28年雇用保険料率につきましては、下記のとおり料率の改定がおこなわれました。

改定となった内容は以下のとおりです。

(変更点)

・一般の事業の保険料率は、1.35%から1.1%へ

・農林水産清酒製造の事業の保険料率は、1.55%から1.3%へ

・建設の事業の保険料率は、1.65%から1.4%へ

このところ雇用環境が良好なことから、雇用保険の積立金残高は平成26年度末で6兆円を超え、過去最高の水準となっています。

適正水準は4兆円程度とされているため、保険料の引下げや失業者へ向けた給付拡大が検討されています。

厚生労働省では、年内に議論をまとめ、来年の通常国会に雇用保険法の改正案を提出する予定です。

料率が0・2%分(労使で0・1%分ずつ)下がって0・6%となった場合、年収400万円の人の保険料負担は年1万2千円ほどになり、従来より4千円ほど少なくなります。

政府は雇用保険の積立金が財源の育児休業時の給付金も拡充する方針です。また、受給できる育休の期間を、最長で1年半から2年へのばすことを検討しています。

こうした措置は働き手の負担軽減になるものの、景気が悪化すれば失業給付の受給者が増え、雇用保険の積立金は目減りしてしまいます。

短期間での相次ぐ料率引き下げは、雇用保険の収支を不安定にする懸念もあるところです。

 

12月の人事

 

冬季賞与の支給と保険料の徴収

冬季賞与を支給する企業では、社員ごとの考課・査定から支給、そして支給額に応じた保険料の徴収事務があります。
賞与を支払った場合は、「被保険者賞与支払届」を作成し、支給日から5日以内に所轄の年金事務所(一部の健康保険組合も含みます)に提出してください。
また、賞与から徴収した保険料は、被保険者負担分と会社負担分をあわせて、納入告知書に従って翌月末までに納付します。

 

社員の退職に伴う事務

年末は、3月に次いで社員の退職が多くなる時期です。
退職者が出た場合は、社会保険・労働保険の切換え・資格喪失などの関連事務を的確に行なうとともに、業務の引継ぎや、社員証、社章、制服など会社の貸与物の回収手続きも忘れずに行ないましょう。

 

パート・アルバイトの確保と労働条件の整備

年末商戦の時期は、パート・アルバイトが戦力として欠かせない企業も多いことでしょう。労働条件や社会保険の加入等に関するトラブルが増えていますから、契約内容をしっかりと確認・整備しておくことが大切です。

 

労務管理の徹底

年末から年度末にかけて業務が集中し、どの部署でも長時間労働になりやすいことを踏まえ、適切な労務管理に努めましょう。
特定の社員に仕事が偏ることを避けるため、業務の割り振り方も工夫してください。労働時間の管理が不適切だと、後になって労使間のトラブルに発展することがあります。

 

社員の健康管理と労災防止

これからのシーズンは忘年会や新年会なども多くなります。睡眠不足やストレスで体調を崩すと、日常生活や業務に支障をきたしますから、社員には、節制のある行動と健康管理を心がけるように注意を促しましょう。
また、毎年12月1日~翌年1月15日は「建設業年末年始労働災害防止強調期間」、12月15日~翌年1月15日は「年末年始無災害運動」の実施期間とされ、ポスター、リーフレット等の頒布が行なわれています。そうしたツールも活用しつつ、職場の安全や労働者の健康の確保に努めてください。

 

内定者のフォロー

学生の大手志向が高まっており、中小企業においては、来春入社の新卒者の確保に苦労したところも多いと思われます。採用内定者に対しては、積極的なフォローを行なうようにしましょう。あわせて、社会人としての心がまえを身につけさせたり、仕事への意欲を高める取組みも大切です。
なお、12月から積雪指定地域での来春3月中学卒業予定者の採用選考が解禁になります(積雪指定地域以外は2017年1月からですが、時期をずらしている地域もあります)。採用予定のある企業は、最寄りのハローワークで詳細を確認してください。

 

暦年単位の管理文書の整理・保管

保存文書のなかで、1月~12月の暦年で管理しているものについては、前もって定めた基準に従い、保存するものと廃棄するものとを分け、必要最小限のものを保管します。

 

年末年始休暇中の事務

年末年始休暇の前には、取引先への日程の再確認、休暇中の保安の確認、電話・郵便物の一時休止の手続き、万一の際の通報先や緊急連絡網の整備などをモレなく行ないましょう。仕事始めの日には、社員の出社状況の確認や、年賀郵便の整理・関係部署への配付といった事務があります。

 

来年の準備、業務計画の確認

迎春用の飾付け、初出式や新年の挨拶回りの準備のほか、タイムカードの整備、年休を暦年で一斉付与する企業では、来年の各人別年休日数の計算などを行ないます。また、総務部門は、全社の正月からの業務計画を押さえて、年間行事・就業に関するカレンダーを作成し、社員に周知します。

 

【税理士法人Bridge大阪】

その他の人事に関する記事
https://bridge-osaka.com/category/column/personnel