【平成29年2月の会計】平成28年確定申告-勘定科目と税金
勘定科目と決算書
「勘定科目」とは、事業の取引を記録するとき、その取引の「性質」をあらわす項目名のことです。
会計取引を記録する「仕訳」は、以下の項目を記録しなければなりません。
- 「日付」(いつ)
- 「勘定科目」(どんな)
- 「金額」(いくら)
「どんな取引があったのか」 を示す「勘定科目」のうち代表的なものは以下のとおりです。
- 「収支」(売上、仕入など)
- 「経費」(旅費交通費、消耗品費、交際費など)
- 「高額の財産」(工具器具備品、車両運搬具など)
個人事業主の確定申告には、申告する所得を計算するために「決算書」と呼ばれる次の書類を作成します。
- 収支内訳書(白色申告の場合)
- 青色申告決算書(青色申告の場合)
これらの「決算書」を作成するには、「記帳」という作業によって日々の取引を「すべて」記録した会計帳簿が必要となります。事業取引内容をひとつひとつ確認しながら揃えてみましょう。
国税庁HP
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税務署が注目する勘定科目にはどんなものがあるのか?
ケース1:年度末をまたがる取引(「売上」「仕入」)
課税当局(税務署)としては申告される「課税所得」が多ければ税収が増えるので、「課税所得」をより小さく見せるような数字には敏感に反応します。
この「課税所得」は、収益と費用の差額である「利益」に連動します。
たとえば取引が年度末(12月)をまたぐ場合には
- 「売上」をより小さく見せる
- 「仕入」をより大きく見せる
ことで「課税所得」が小さくなります。
その結果、納める税金が少なくなりますが、
税務署に対して
「売上を翌年度に持ち越してないか?」
「仕入を当年度に押し込めてないか?」
といった疑念を生じさせる要因になりかねません。
実態どおりであればなんら問題ではありませんが、意図的に数字を動かすような記録はしてはいけません。
青色申告事業者が作成する「青色申告決算書」では、「売上」と「仕入」について毎月の内訳を記入することになります。
集計された数字が
- 「12月の「売上」の金額が急に小さくなっている
- 「12月の「仕入」の金額が急に大きくなっている
という内容になっていたら要注意です。
取引の実態どおりに記録し、年度末をまたがる取引については「未収」「未払」の処理を正しく行いましょう。
ケース2:高額な備品の購入(「減価償却費」)
一点あたりの購入金額が10万円以上の高額な備品を買った場合、全額をその年度の経費にするのではなく、その後何年かにわたって経費を負担させるように計算します。これを「減価償却」といいます。
固定資産の減価償却の処理は、購入金額によって次の3つのパターンに分けられます。
- 10万円未満(または使用期間1年未満):全額をその年度の経費にする(少額減価償却資産)
- 10万円以上20万円未満:3年かけて経費にする(一括償却資産)
- 20万円以上:耐用年数にもとづいて減価償却を行う(減価償却資産)
※なお、中小企業者(資本金が一億円未満の法人)及び個人事業主については「購入金額が30万円を下回る固定資産については、ある一定の要件を満たせば全額をその年度の経費にすることができる」という税制上の優遇措置があります。
なお、固定資産の減価償却費は「購入した一点ごとに」計算しますので注意しましょう。
また、税込・税抜経理によっても償却方法が異なります。
たとえば、税抜経理を選択している場合、次のような扱いになります。
- 税抜98,000円→全額をその年度の経費にする
- 税抜100,000円→3年かけて経費にする
税込経理を行っている場合は、税込の取得金額が30万円未満の場合はその年度の経費にすることができます。
ケース3:個人的な飲食代(「福利厚生費」「交際費」)
「福利厚生費」は個人事業主の方自身や、一緒に仕事している家族や従業員に飲食代を負担したりしたときに使う勘定科目です。
「交際費」は、取引先などに接待や供応をしたときに使う勘定科目です。
どちらも必要な経費を記録するための勘定科目ですが、使いすぎると税務署に目をつけられてしまい
ます。
領収書を集計しているときに「事業に関係しない個人的な飲食代」が混ざっているようであれば、決算書を作るときには除外しておきましょう。
たとえば「交際費」として計上しているものであれば
「誰と行ったのか?」
「人数と金額がアンバランスになっていないか?」
など注意してください。
ケース4:自宅を事業所として利用している(「水道光熱費」「地代家賃」)
個人事業主の方であれば、自宅を仕事場にしている方も多いと思います。
その場合、支払っている家賃や電気料金・水道料金などの諸経費の一部を経費に計上することが認められます。
確定申告では「家事按分」という処理でこの経費計上の処理を行いますが、このときの「事業」と「家事」の割合は、現実的な数字を設定する必要があります。
たとえば「家賃」であれば、床面積の割合などで「事業関連費」と「家事関連費」に按分します。仕事専用部屋があるならば、その面積をもとに「事業関連費」の割合を出します。
「水道光熱費」については、「家事関連費」の割合を厳密に出すのが難しいのですが、一般的には「事業関連費」は総額の10-20%以内とします。
税務署からさまざま指摘を受けて困ったことにならないようにするためには、勘定科目に気を付け「正直に記録する」のが一番の近道です。
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事業の税金は「租税公課」 事業主個人の税金は「事業主貸」
「個人事業や事業主個人に関わる税金を納付した時
どの勘定科目で仕訳をすれば良いのか」
主なものをまとめました。
「租税公課」として経費にできる支出の例 | 「事業主貸」として処理する支出の例 |
---|---|
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|
所得税や住民税など、事業主個人にかかる税金は経費にはできないので、
納付した際には「事業主貸」の勘定科目で処理すればOKです。
>> 事業主貸・事業主借とは?
逆に、個人事業税や固定資産税など、
事業に関わる税金は「租税公課」の勘定科目で経費として処理できます。
租税公課として支払った経費の消費税区分は「不課税」です。
租税公課についての詳細は、以下のページを参考にして下さい。
>> 租税公課とは?個人事業での租税公課として認められるものの種類など
・所得税や住民税が還付された場合
「事業主借」の勘定科目で仕訳します。
・事業主の国民年金と国民健康保険については、
租税公課として経費にはできませんが、社会保険料控除の対象になります。
この場合は事業主貸で帳簿づけしておいて、
確定申告の際、確定申告書Bに社会保険料控除の金額を記載することになります。
>> 個人事業主が納める社会保険について
複式簿記での仕訳例
例1)所得税20万円を事業用口座から振替納税した
所得税は、事業主個人にかかる税金なので「事業主貸」で処理します。
事業用で使っている銀行口座から所得税を支払った場合には、以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|
事業主貸 200,000 | 預金 200,000 | 所得税納付 |
例2)個人事業税10万円を現金で支払った
個人事業税は、事業そのものに関わる税金なので「租税公課」の勘定科目で処理します。
この場合は支払った税金を経費として計上できます。
借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|
租税公課 100,000 | 現金 100,000 | 個人事業税納付 |
租税公課として経費処理できる税金も、按分を忘れずに
上記のように、個人事業税はまるまる租税公課として経費処理できます。
しかし固定資産税や自動車税などは、
100%事業用のものでなければ利用用途の割合によって按分する必要があります。
通常の経費を按分するのと同じ考え方です。
例えば、自家用車を事業用として60%、家庭用として40%使っているのであれば、
自動車税も60%を「租税公課」として経費処理、残り40%を「事業主貸」で処理します。
(→この場合の複式簿記の仕訳例はこちら)
消費税の仕訳・勘定科目について
納付する消費税については「税込経理方式」をとるか「税抜経理方式」をとるかによって、
仕訳の仕方がかわります。
消費税については、そもそも納税する必要がない免税事業者も多いので注意しましょう。
課税事業者は、税込経理方式を採用するか、税抜経理方式を採用するかを自分で選択できますが、消費税の免税事業者は、税込経理方式で仕訳をします。>> 免税事業者と課税事業者の違い
- 税込経理方式とは → 売上高や仕入高に消費税を含めて経理する方法
- 税抜経理方式とは → 売上高や仕入高に消費税を含めず、区分して経理する方法
税込経理方式 | 税抜経理方式 | |
---|---|---|
(特徴) | 売上などに消費税を含むので、事業の損益が消費税によって影響されるが、税抜き計算の手間が省ける | 事業の損益は消費税によって影響されないが、税抜き計算の手間がかかる |
(経理方法) | 売上や仕入は消費税を含めた額で計上する | 売上に関わる消費税は「仮受消費税」 仕入れ等に関わる消費税は「仮払消費税」の勘定科目で、消費税を区別して計上する |
(仕訳) | 消費税を納付する場合は「租税公課」として必要経費にする
消費税が還付される場合は「雑収入」として収入にする |
納付する場合は、仮受消費税から仮払消費税を引いた金額を「未払消費税」で計上する
還付される場合は、仮払消費税から仮受消費税を引いた金額を「未収消費税」で計上する |
なお、税抜経理方式の場合、
消費税等の端数処理の関係により、未払消費税(もしくは未収消費税)の金額が確定申告で計算した納付金額(もしくは還付金額)と一致しない場合があります。
この場合は、差額を「雑収入(もしくは雑損失)」で処理します。
詳細は国税庁ウェブサイト「消費税のあらまし – 第16」を参考にして下さい。
>> 消費税のあらまし – 国税庁ウェブサイト
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平成29年2月の会計
▼2016年分の確定申告の受付開始▼
【平成29年2月の経営管理事務】平成28年分確定申告特集 (弊社HP内_2017.2.1up)
https://bridge-osaka.com/category/column/management
2016年分の所得税・個人住民税の確定申告の受付期間は、2月16日から3月15日までです。
給与所得者であっても昨年末に年末調整を受けなかった人、2016年中の給与収入が2000万円を超える人、一定額以上の副収入がある人、2か所以上の会社から給与の支払いを受けている人などは確定申告が必要です。
確定申告の必要がない人でも、一定額以上の医療費を支払ったり、ローンを利用して住宅の取得や増改築をしたり、自然災害(地震、風水害、雪害等)や盗難などで資産に損害を被った場合には、還付申告をすることで、税金が戻ってくるケースがあります。
この還付申告は、2月16日より前の時期でも受け付けてもらえます。税務署が比較的空いていますから、該当社員から相談された場合には、アドバイスするとよいでしょう(還付申告ができる期間は、税金を納め過ぎた年の翌年の1月1日から5年間です)。
なお、一部の税務署は、期間中の日曜日も確定申告の相談・申告書の受付を行ないます。
詳しくは、国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp)で確認してください。
▼3月決算法人の決算と申告の準備▼
3月決算法人では、遅くとも2月中には決算の仮締め を行ないます。
経理としては、年度末までの数字をできる限り正確に見込むとともに、事前に経営トップの意向を確認し、今期の決算政策について十分に検討しましょう。
そこで確定させた決算政策に基づき、決算調整を行ないます。
また、スムーズに決算業務を進めるには、営業や製造など他部門の協力を得ることが不可欠となります。
そこで、関係部署(担当者)に対して、具体的に何をしてもらいたいのかを明確化するため、決算期日までの日程表、実地棚卸の要領や業務点検表などを作成して配付し、必要な手続きや作業を確実に行ないましょう。
時間に追われると、処理のミスやモレが増えますから、常に余裕をもって取り組むことが大切です。
▼年度末までの資金計画(資金繰り)の再確認▼
年初から春先にかけての資金計画(資金繰り)を改めて見直します。
特に3月決算法人では、仮締めをすることによって、納税など決算に必要な資金額がみえてきます。
また、取引先等に交渉するなどして、貸付金や売掛金、立替金といった仮勘定を期日までに精算することも、資金繰りの改善につながります。
資金不足が予想される場合には、金融機関に借入を申し込むなど、早めに手当てをしておきましょう。
▼新事業年度の利益計画の立案▼
3月決算法人では、決算の準備とともに新事業年度の経営計画づくりに着手することになります。
なかでも重要なのが利益計画です。
今年度の実績見込みをふまえて、来期の人件費、設備機器・資産の維持・修繕費や新規更新の見込みといった大きな費用から、材料費、備品購入費、旅費・交通費、水道光熱費など細かい支出まで、具体的に算出して計画を立てる必要があります。
▼固定資産税第4期分の納付▼
2月は、固定資産税(特定の市町村では都市計画税も含まれます)第4期分の納付月です。
各市町村から送られてきた納税通知書の税額・期日を確認し、指定日までに納付しましょう。
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