columnコラム

【法務】ふるさと納税返礼品競争、続く是正要請戸惑う自治体

総務省の『返礼品』見直し要請が続いています (100自治体、家電など)

  ふるさと納税の返礼品について、総務省が、寄付金の3割以下の目安を明記し、全国の自治体に要請した“是正策”が波紋を呼んでいます。

 

総務省は今年3月、過熱するふるさと納税の返礼品競争に歯止めをかけるため、自治体が贈る返礼品の調達額を寄付額の3割以下とすることなどを柱とした是正策を発表し、『寄付額に対する返礼品額の目安』を初めて明記しました。

全国の自治体に通知(4月1日付)(調達額は3割以下とし、転売しやすい家電や家具、楽器などを贈らないようにとされています)がなされ、その是正には、総務省が見直し状況をチェックし自治体などに直接、改善を促すことが盛り込まれました。(但し、あくまで「助言」という位置づけで強制力はない。)

返礼品代を引き下げる動きは広がっているものの、見直さない自治体もあるため、個別に働き掛けが必要と判断したものと考えられます。

 

総務省によると、平成27年度返礼品調達額は平均で寄付額の約4割でしたが、調達額比率は上昇傾向にあり、有識者の意見などを踏まえ【3割】とされました。

また、商品券や家電・電子機器の返礼品は、「転売対策の有無や地域への経済効果に関係なく」との表現で自粛を求めました。対象となる品目には、従来のプリペイドカードやゴルフ用品のほか、家具、カメラや宝飾品などを追加し、より具体性を持たせるものとしています。

 

そのような中、さらに5月24日付において、いまだ贈り続ける自治体に対し、総務省が見直しを求める通知を改めて出しました。(対象は全国1788自治体のうち約100ほどですが、具体的な自治体名は明らかにはされていません。)

 

ふるさと納税の返礼品を巡り、繰り返し求める総務省の通知に対し、自治体には戸惑いが広がっています。

新年度が始まる4月1日付の通知では、見直しをしようにも「すぐには対応できない」との声のほか、返礼品競争から離脱することで寄付が減ると懸念する意見もあがりました。

さらに、通知で全廃対象となった家電や宝飾品を返礼品として贈っている市町では、地元特産品なので判断を決めかねてしまうという悩みもあります。

前述のとおり、通知に強制力はないため、上限の目安を守らない自治体に寄付が流れるのではとの指摘も広がっています。

 

総務省は昨年4月の是正策でも、電子機器などの返礼品を自粛するよう求めていました。しかし、一部のふるさと納税サイトでは、家電などの返礼品を提供する自治体の人気が高く、是正策の実効性には疑問が残ります。

総務省は3月中旬、「ふるさとチョイス」や「さとふる」など、ふるさと納税サイトの運営事業者が開催する会合で、自粛すべき物品の場合にはサイトに掲載しないよう求め、今後も共同で是正を進めるものと思われます。

ふるさとチョイス お礼の品でチョイス ふるさと納税サイト さとふる

 

この右往左往する状況に、返礼品は寄付してもらったお礼として贈るもの、返礼品の目安は自治体に任せてほしいという思いも、おそらく自治体側にはあるでしょう。

返礼品の選別は、自治体が寄付額を増やすために自主的に決めている取り組みです。ただし、その結果、自治体も寄付をする人も、返礼品競争の当事者になってしまっているのが現状です。なぜ国が水を差さざるを得なくなったか理由を考えていかねばなりません。

寄付している人は納税者の数十%にとどまっており、国が具体的な上限を示すことよりも、寛容の精神をもってこれからの納税者の裾野を広げていくことのほうが、大切なことなのではないでしょうか。

 


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