columnコラム

【法務】平成29年度税制改正(中小企業・小規模事業者関係)概要

中小企業庁より、平成29年度与党税制改正大綱における「中小企業・小規模事業者に関する税制改正の概要」が発表されています。

今年の改正は、配偶者控除の見直しや酒税税率改正などが注目されていますが、中小企業支援を目的とする改正も多く盛り込まれています。

(平成29年度税制改正関連法は、当発表後、3月27日参議院本会議で可決されました。)

中小企業関連の主な改正事項

中小企業庁の税制改正関連資料によると、以下5項目が中小企業関連の主な改正事項として取り上げられています。
(1) 中小・小規模事業者の「攻めの投資」を支援する税制措置の拡充
(2) 所得拡大促進税制の見直し
(3) 研究開発税制の拡充
(4) 中小企業企業者等の法人税率の特例の延長
(5) 事業承継を促す税制措置の見直し

「攻めの投資」を支援する税制措置とは
設備投資(※)や研究開発に対して特別償却や税額控除などの節税効果を与え、新しい取り組みが売上拡大につながっていくまでの資金繰りに配慮することで、中小企業の活性化を促す施策のことです。

設備投資(※)に関する改正点は以下。

中小企業の設備投資に関連する今回の改正点は以下4項目があげられています。
(1)固定資産税特例の拡充
(2)中小企業経営強化税制の創設
(3)中小企業の投資促進税制の延長
(4)商業・サービス業・農林水産業活性化税制の延長

今回は、あらたに(2)中小企業経営強化税制が新設されました。
これは(3)の中小企業投資促進税制と(4)商業・サービス業・農林水産業活性化税制の枠組みに変更を加えたものになります。

これとともに、(1)固定資産税の特例の拡充にも関連するのが、平成28年7月1日より施行された「中小企業等経営強化法」です。

中小企業等経営強化法とは
少子高齢化、人手不足が問題となるなか中小企業の経営課題解決や生産性向上の取り組みを促すために、税制面や金融面にわたり支援を行うための施策です。
中小企業が商工会議所や金融機関など支援機関の指導を受けながら、自社の経営力を向上させるための計画(「経営力向上計画」と呼びます)を作成し、それが国から認定されると設備投資に関わる固定資産税の軽減措置や政府系金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証が受けられます。

中小企業の生産性向上のための固定資産税の特例の拡充

これは、中小企業が平成30年度末までに新たな設備投資を行う場合に固定資産税の課税標準を3年間にわたり1/2に軽減するという制度です。
これまでの対象設備は「機械装置」として以下のようなものが指定されていました。

対象設備例

改正点は、「器具備品」、「建物付属設備」として以下のようなものが加えられます。

中小企業の生産性向上のための固定資産税の特例 機械装置改正点図

中小企業庁 HPより
対象となる中小企業

資本金1億円以下の中小企業者が対象となり、大企業の子会社は除かれます
東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都は労働生産性が全国平均未満の業種※に限定し、それ以外の地域は全業種が対象です。
※一部の小売業、宿泊業、飲食店、理美容、自動車整備など(平成24年経済センサスによる)


必要な要件

中小企業等経営力強化法に基づき、 経営力向上のための計画(経営力向上計画)を作成し、認定を受けることが必要です。

新規取得の設備による生産性の向上が、既存のものに比べて1%以上見込まれることが求められます。

中小企業投資促進税制の適用期間延長

中小企業が設備投資を行う際、指定の事業に対し指定の設備を新設する場合に税額控除が受けられる制度です。

改正点は、平成29年3月末までの時限措置でしたが、平成30年度末までに延長されました。設備を導入し稼働させる(事業の用に供する)日が期間内に入ることが必要です。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制の適用期間延長

商業、サービス業、農林水産業分野の中小企業が経営改善指導を行う機関の経営指導に基づき、一定の要件を満たす設備の取得を行う場合に、特別償却(30%)または税額控除(7%)が受けられる制度です。

改正点は、中小企業投資促進税制と同様に平成29年3月末が期限でしたが平成30年度末に延長されました。

本税制のイメージ図

中小企業庁 HPより

中小企業経営強化税制の新設

中小企業投資促進税制の上乗せ措置(平成26年1月20日から)の対象となる業種を、新たにサービス業に広げ、対象設備も「器具備品」、「建物付属設備」を加えて新設されたのが中小企業経営強化税制です。

中小企業等経営強化法の認定を受けることと、導入設備の生産性(A類型)または投資収益率(B類型)の向上の確認が必要となりますが、即時償却ができることがメリットになります。

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【税理士法人Bridge大阪】

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